FC2ブログ

都市河川学会

都市の河川を中心に、川を考える。川を愛でる。川を遊ぶ。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

珍しく長文を書いてみた。〜大山顕写真展に寄せて

以前、フォトグラファーの大山顕さんとお酒を飲んでいて
(確か初めてお会いした時だったと思う)
こんな話を聞いたことがある。

「人間の体の60%は水分だそうです。
 と言うことは、例えば満員電車一編成は
 ものすごく大量の水分を運んでいることになりますよね。
 同じルートを規則的に流れている大量の『水』。
 そう考えると、電車の路線は『川』と同じですね」




ああ、なるほど。確かに。
この人は不思議な角度からものごとを見ているなあ、
と思ったことを覚えている。

そんな大山顕さんの写真展が来週、東京で開かれる。
すでに横浜や大阪などでも開催されていて、僕も二回見に行った。

---
大山顕の撮る写真は暴力的だ。

大山顕、その人は暴力とは無縁そうな(本当かどうか確かめたことはないけど)、
オシャレでしゅっとしたイケメンである。
なのに、その彼の撮る写真はまったくもって暴力的だ。
暴力というとちょっと語弊があるかもしれないが、
相手と力で相対する時に空手やボクシングを使うように、
大山顕はカメラという技を用いて力を使う。


IMG_5019.jpg


横長の巨大なフレームに収められた、数々のジャンクション。
ジャンクションのマニアの多くは、その全体のフォルムを愛でるために俯瞰する視点を好むが、大山は常に下から見上げる。
ジャンクションを実際に見に行けばすぐにわかるが、近づくと視界からはみ出してしまうほどに巨大だ。
普通に写真を撮ろうとしたら、後ろへ下がって撮影地点を遠くに取るしかない。
しかしそれでは、全体のフォルムはわかっても、下から見上げた時の、あの巨大さは分からない。
対象物に近寄って行くと、視界全部を一枚に収めることはできない。
その二律背反を、力技で解決したのが、大山顕のジャンクション写真だ。
視界の端から端まで、場合によっては180度を超えて、空間をその臓腑に収める。
もちろん一度では収まりきれないので、何度も何度もシャッターを切って、巨大構造物をかみ砕き、一枚に合成する。

そうやって、細長い空間に押し込められたジャンクションは、現実の立体とは異なるダイナミックな曲線を描きながら、フレームの中でのたうち回る。
狭い檻に閉じこめられた、巨大な龍のように。

IMG_5023.jpg


大山顕の工場写真を観賞する人は、普通の写真展とは異なるフットワークを刻む。
まずはミドルレンジで相手との間合いを計り、
ちょっと距離をとって全体の構造的な美しさに見とれたり、
懐に入って有機的なディティールにため息をついてみたり。
蝶のように舞い、蜂のように刺す、とは昔のヘビー級チャンピオンのフットワークを形容した比喩だが
見る者にそんなフットワークを強いる写真を、私は他に知らない。
大山顕の写真の暴力性が、見るものまでも暴力的にしてしまうのか(いや違う)。

一枚の工場写真に込められた、全体の美しいシルエットと、豊かなディティール。
前述のジャンクション写真のように、これも巨大な工場を一枚に収めたいという大山顕の欲望である。
結果、大山顕の工場写真は全体のフォルムと、細やかなディティールを合わせ持ち
見るものを魅了し、踊らせる。

IMG_5020.jpg


大山の団地写真。
すべて正面から撮影されたもので、団地はきれいな方形をしている。
しかしこれは本来はおかしい。そうそう都合よく団地を正面から撮影できる足場などあるはずがない。
写真に写った団地の足元をよく見ると、ものすごく長く伸ばされた自動車や街路樹が写り込んでいることがある。

大山は撮影した写真を、団地が方形になるように変形させている。
すべて同じ構図に固定した上で、そのフォルムの美しさや、微妙な差異を愛でる。
ほぼ真正面から、同一の視点から見て楽しむ。
昆虫標本のように、大山は団地をつかまえ、固定化し、コレクションする。
そのために彼は一度撮った写真に力を加えて、変形させる。



マンガ『グラップラー刃牙』の作者、板垣恵介が「強さって何だ?」という問いにこう答えた。
「己の意思(ワガママ)を通す力」

大山顕の写真の力を支えるものもまた欲望である。
巨大な空間を一枚に収めたい!
ディティールも全体も両方見たい!
団地は正面から見たい!
ある種幼児的とも言える欲望を、技術の力で無理を通して解決する。
力技でねじ伏せる。
われわれ観客は、そんな大山の力技に酔いしれる。

大山顕の写真は、まったくもって暴力的なのである。


-----

そんな大山さんの写真展、しばらくはやらないそうなので、当分は見納めである。
僕もまた、打ちのめされに行こうと思う。

大山 顕 写真展 赤坂
■2013年6月10日(月)~16日(日)
■平日10時~20時(日曜日は17時まで)
■赤坂 OAG ハウス 東京 ロビーにて
■6月12日(水)20時~22時にトークイベントも行います
■いずれも入場無料

http://blog.livedoor.jp/sohsai/archives/51966352.html
スポンサーサイト
  1. 2013/06/06(木) 20:49:29|
  2. 告知
  3. | コメント:0

コメント

<%template_post\comment>


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。